善導独明仏正意

原文 書き下し文
善導独明仏正意 (善導独り、仏の正意を明らかにし)

目次

  1. 善導独り、仏の正意を明らかにして
  2. 善導大師とは?
  3. 中国の唐の時代とは?
  4. 仏の正意とは?

善導独り、仏の正意を明らかにして

善導独明仏正意」は
「善導独り、仏の正意を明らかにして」
と読みます。

善導」とは、善導大師のことです。
仏の正意」とは、仏様の正しい御意のことですから、

「善導独り、仏の正意を明らかにして」とは、
親鸞聖人が、
善導大師ただ独り、仏様の正しい御意を明らかにして下された。
 そのおかげで親鸞、弥陀に救い摂られることができたのだ

と、一段と声を大きくして、善導大師を褒め称えておられるお言葉です。

善導大師とは?

善導大師は、約1300年前の中国の唐という時代の方です。

大変まじめで、30年間、一度も布団を敷いて休まれることなく、仏教の勉学に励まれたと言われます。

修行の妨げにならないようにと、道で女性とすれ違う時は笠で顔をかくされた、とも言われます。

このような善導大師を親鸞聖人は
大心海化現の善導」と言われて
極楽浄土から仏さまが人間として現れられた方だ、と尊敬しておられます。

中国の唐の時代とは?

善導大師の活躍された唐の時代は、中国の歴史上、最も仏教が栄えた時代でした。

時の天子も仏教を信奉して、仏教を保護しておりましたので、沢山の寺が建てられ、多くの人が仏法に帰依しました。

中国の天台宗を開いた天台
地論宗の浄影
三論宗の嘉祥といった
一宗一派を開いたような者が続出し、その弟子の僧侶たちも何十万とあった時代でした。

天台─天台宗
浄影─地論宗
嘉祥─三論宗

それなら「仏の正意」に明らかな人はたくさんあったのではないでしょうか?
実際、それぞれ明らかだったと思われていました。

ところが親鸞聖人は、その何十万の僧の中で、善導大師ただお独りが、「仏の正意」に明らかであったと言われているのです。

これは親鸞聖人の単なる主観ではありません。
善導大師は、当時、たくさんの僧侶を相手として、天台・浄影・嘉祥らの誤りを打ち破られているのです。

仏の正意とは?

では「仏の正意
仏様の本当の御意とは何かといいますと、

仏様とは、仏のさとりを開かれた方のことです。

一口にさとりと言いましても、低いさとりから高いさとりまで52の位があり、これをさとりの52位と言われます。

その最高のさとりの位を
仏覚」とか「無上覚」と言われます。
この最高無上のさとりを開かれた方のみを、仏とか仏様といわれます。

この仏のさとりまで到達された方は、地球上ではお釈迦様以外にありませんから、「釈迦の前に仏なし、釈迦の後に仏なし」と言われます。

そのお釈迦様が、80才でお亡くなりになるまで説いてゆかれた教えを、今日、仏教と言われます。

その教えのすべては、七千余巻の一切経となって書き残されています。

その一切経で、釈迦の説かれたことはただ一つ、「阿弥陀仏の本願」でありました。

阿弥陀仏の本願」とは、大宇宙に無数にまします仏方の本師本仏・先生の仏である阿弥陀仏が、本当に願っておられる御意、ということです。

善導大師は、その阿弥陀仏の御意を、
どんな極悪人でも、我を信じよ、必ず平生に救いきると、約束しておられるのだ」と、鮮明に教えてゆかれました。

何千何万の僧侶があっても、「仏の正意」をこのように明らかにされたのは、善導大師しかなかったので親鸞聖人は、その偉大な善導大師を、「善導独明仏正意」と朝夕、讃嘆されているのです。

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